へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

おっちょこちょい、ここに極まれり

 

恥をしのんで告白します……自転車、盗まれてませんでしたー!

 

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盗難届を出しに行こうと、自宅の玄関を出たわたしの頭の中で声がした。―― 〇〇スーパーの駐輪場、確認したほうがいいんじゃないかい?

 

近所のスーパーへは歩いて行くこともあれば、自転車に乗って行くこともある。抜けたところのあるわたしは、自転車に乗って行ったことをすっかり忘れて、徒歩で帰ってくるときが、たまーにあった。

 

とはいえ、いつも自宅にたどりつくまでに、はっと気がついて引き返していたので、完全に置き忘れる、ということはこれまで一度もなかった。

 

駐輪場から自転車がなくなっている。そう気づくとまっさきに、自分自身をうたぐってかかった。

 

クレジットカードの利用履歴と日記、あいまいな記憶を照らし合わせた結果はこうだ ーー スーパーへ買い物に行った二日後、自転車に乗ってコンビニへ行き、置き忘れることなく自宅まで帰ってきている。自転車は盗まれたと考えた方がつじつまが合う。

 

そうして盗難届を出すに至ったというのに、頭の片隅では相変わらず声がする。―― 一回見といた方がいいって。あの駐輪場にあるかもよ。なかったらなかったで何も変わらんのだし、ね?

 

うるさいなー! そんなに言うなら、見といてやろーじゃーないか! ま、どうせないけどね。スーパー行ってたら、絶対カード使うし、カード履歴は残ってないし、つまり行ってないってこと。ほーら、駐輪場に黄色の自転車なんて、な………………あった。

 

何の変哲もない駐輪場で立ち尽くす。

 

目の前の見慣れたフォルムの自転車が、他人のものであってくれ。心の底から神に祈った。しかし防犯登録番号を確認するまでもなく、ハンドルに取りつけたスマフォホルダーとライトの組み合わせが、これはお前の所有物であると、如実に語りかけてくる。

 

ただの置き忘れを、「盗まれました」と警察に申告してしまった、どうしようもない阿呆はこのわたしです!

 

とんでもない羞恥に、思わず叫びだしたくなる。周囲を行きかう買い物客が、わたしを指さして笑っているような気がする。

 

警察にどう説明していいやらわからない。

 

だってだよ、いくらなんでも馬鹿すぎるではないか……。一瞬「近所のスーパーで “ 偶然 ” 見つけました」と、虚偽の申告をすることも考えたが、スーパーの防犯カメラをチェックされでもしたら、すぐに事実は判明するだろう。

 

恥に恥をかさねてどうする! ああ!  いますぐここで自害したい …… !

 

事をひきずれば、ただでさえひ弱な精神に支障をきたすことは目に見えていた。スーパーから自宅に戻ってすぐに、警察へ連絡をいれた。冷房のきいた部屋にいるというのに、心臓は脈打ち、そのうち胃のあたりがぎゅるぎゅると痛みはじめた。

 

盗難届の取り下げ手続きのため、自宅まで来てくれた男性警察官は、こちらの落ち度を責めるでもなく、終始丁寧に対応してくれた。きつく叱られても仕方がないと身構えていたぶん、ほっと胸をなでおろしたが、手続きが完了するまで、心が落ち着く暇はもちろんなかった。

 

書類の必要事項の穴を埋めて終わる、簡単な手続きかと思えば、実際はそうではなかった。

 

聴取をうけてから、ずいぶん待たされるなーと思っていたら、出来上がった書類には、A4サイズの用紙一枚を埋めるくらいの分量で、警察官の方の手書きの文字がずらずらと並んでいるじゃあありませんか。

 

わたしが自転車を見つけ、盗難届取り下げに至るまでの経緯を、誰が見てもわかるように、詳細にまとめてあるのだ。

 

今回の件では何度目かしれない、申し訳なさの波に飲みこまれながら、書類を読み上げる声に、はい、はい、と返事をして、ひとつひとつ確認をしていく。最後にボールペンで署名し、印鑑を押して、書類は完成。

 

「盗難事件は実際多いので、施錠はしっかりしてくださいね」と注意をうながしてくれた警察官に、再度謝罪と感謝を伝え、『自転車盗難事件』改め『おっちょこちょいここに極まれり事件』は幕を閉じたのであった。

 

 

自覚せねばなるまい――わたしはどこかしら抜けているし、自身の記憶を信じてはならない、と。

 

財布をなくさないように、絶対にポケットにしまうカードケースサイズのものに変更した。現金をおろし忘れて、駅の改札から出られなくなりそうになったことがきっかけで、キャッシュレス生活に切り替えもした。

 

そうやって対策をほどこし、『抜け』をカバーしたことによって、普通な人と同じにしゃんと生活を送れていると錯覚してしまったのだ。

 

おっちょこちょいもいくとこまでいくと、『おっちょこちょいであること』まで頭から抜けてしまうのだ。はははははは、は、は、はぁ……。

 

自転車を置き忘れないための対策として、ハンドルのところに鈴のキーホルダーを搭載しました。近所に出向いて、自転車を停めたあとは、必ずその鈴を手に持つようにする。

 

そうすれば、いくら抜けてるとはいえ、自転車を置いて帰ることはあるまい。最悪置いて帰っても、手の中に鈴があれば、自転車の置き忘れには気づく。

 

もうひとつ――これからは自分の記憶は疑ってかかることとする。絶対あてにしちゃあいかん。だめ、ぜったい。

 

ただでさえ物忘れがひどいというのに、認知症にでもなったら、いったいどんなことになるのだろうか。きてもない将来を心配しても仕方ないけれど。……とりあえずは色々対策をこうじて暮らしていこうと思います。

 

警察の方々、ご迷惑をおかけしてほんとすみませんでした。これからもちゃんと税金払おう。そう心に決めたへなちょこフリーターなのでした。