へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

金太郎飴になりたかった

 

 

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どこを切っても『幸福』の二文字が現れる ―― そんな人生だったら、みんな祝福してくれたろうか。

 

部屋の電気を落として、タオルケットにくるまり目をつぶる。厨房で立ちっぱなしの一日だった。シャワーを浴びる気力は残っていない。鼻まわりの皮脂が、枕カバーに染みこんでいく気がする。

 

頭の裏側のスクリーンで開かれる上映会は、エンドロールの存在を知らないらしい。今日一番の不毛な出来事を焼きつけたフィルムをまわし続けている。

 

どうせなら先月出かけた三河湾の風景なんかを再生してくれればいいのに、ぼくはぼくをいびるのが上手で困る。

 

本日封切りのB級映画の主な登場人物は、職場でどなっていたSさん、SさんにどなられていたUさん、そしてそれを見ているだけだったぼく、の3名。

 

突如Sさんから放たれた感情の塊に横殴りにされ、記憶の箱がはじけ飛ぶまでコンマ一秒。

 

昼休憩の間中、箱を元の場所に仕舞おうと、何度も上から押さえつけたのだけれど、気を抜くと蓋が開いて、中身がこぼれ落ちそうになる。どうやらネジが一本どっかへいってしまったみたいだ。留め具がばかになっている。

 

あの日 ―― それは今日のことでもあるし、一年前の、五年前の、十数年前のことでもある。 " あの日 " 聞いた、Sさんの、父の、先生の、先輩の、それぞれの怒鳴り声がぼくの中で唸りを上げ、それはそれは見事なハーモニーで、ぼくのカラダを震わせにかかる。

 

彼らが、ぼくの頭の中で歌っているだけならかまわないが、そのうちに化け物か何か、おそろしいものに変わってしまいやしないか ―― そんな予感に喉仏の辺りがじくじく痛み、今日もうまく眠れずにいる。

 

握りこんだタオルケットを鼻先に近づけ、息を吸いこむ。化学繊維の香りにすがってまで、生きる意味ってなんなんだろう。大人になっても夜はこわいままだ。

 

洞窟に住んでたころの人類と、夜明けを待ってる夢をみた。