へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

思い出を供養しよう・第三弾『高知・そうだ山温泉 和』

 

温泉が好きだ。

 

f:id:tomokusa_mei:20190608104355p:plain

 

広い湯船に肩までつかり、毛穴をくすぐる熱の塊が、カラダの内へ内へと浸みわたっていくのを感じる時間は、至福というより他にない。

 

「どうだ、気持ちがいいだろう?」

 

効能の大小に関わらず、温泉と名のつくものはすべからく、自慢気な態度を纏っているものである。

 

快楽に屈服するような単細胞ではないぞ !  ーー 理性ある人間として、そう断固として抗ってみたいものだが、はたまたどうして、これまで一度だって、ましてや足湯にだって、勝てた試しはないのである。

 

今この瞬間に、世界各地で温泉が湧きあがるようなことなぞあれば、人間はすべからく武力解除をよぎなくされて、世界平和も夢ではないだろう。

 

 

温泉と、自宅の風呂との一番のちがいはなんだろう。湯船の大きさや、効能の有無はいわずもがな。温泉を温泉たらしめているのは、浴場でくつろぐ人と人との間にぴんと張られた一本の緊張感ではなかろうか。

 

脱衣所の扉をくぐり、白い湯気の立ちのぼる水面につま先を差し入れる直前まで、わたしの胸はどきどきと高鳴っている。それは通い慣れたスーパー銭湯であってもおなじで、もしも熱湯だったらどうしようというような過剰な妄想力の産物だる危機感が、心地よさに対する期待のなかに髪の毛一本ほど、混じっているのだ。

 

同性であるとは言っても、他人は他人。裸になったからこそ、隣の人間がまったく別の生き物であることを実感させられる。あの人は肌がしろいなあ、あそこのおばあさんは背中のほくろが尋常じゃないぞ、あんなにふくよかでは膝への負担が心配だ、走りまわっている女の子の線の細さといったら、簡単に折れてしまいそうでこわいほどだ。

そんな知らない人々に無防備に裸をさらして、緊張しないわけがないのである。だのに湯につかれば否応なく、精神の末端まで心地よさにさらわれて、輪郭がぐにゃぐにゃに、無防備の最高潮へと一直線 ーー それではいけない! この際、子どもの落書きほどであってもかまわない、人間として最低限の形をたもとう! たもたねば! しかし、なんとも、きもちがよいなあ …… !

 

押してはいけないと禁止されたボタンほど、押したくなる。無防備になってはいけないと思う心が、温泉をますます気持ちよいものにしていく。ほんの少しのストレスがスパイスとなり、温泉を悪魔的な快楽たらしめているのである。

 

つまりは駅から徒歩3分のスーパー銭湯よりも、山の中まで車を走らせてわざわざ浸かりに行く温泉のほうがより強く気持ちよさを感じる、ということになりはしないか? 人に勧めるときには「ほんとうは教えたくないんだけど」を付け加えればなお完璧だ。その温泉で得られる快楽は、確約されたも同然である。

 

というわけで、思い出を供養しよう・第三弾は、山の緑の中にある、誰にも教えたくなくなる温泉『そうだ山温泉 和』だ!

f:id:tomokusa_mei:20180809203924j:image

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カラダに刻む贅沢 " そうだ山温泉 和 " 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

f:id:tomokusa_mei:20180809204211j:image

➡︎ 右の低い建物がロビー兼喫茶、左が宿泊施設。パンフレットによるとツリーハウスなんかもあるらしい。

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204148j:image

➡︎ ロビーで支払いをすませて、一度外へ。少しばかり歩いていきます。

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204139j:image

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204225j:image

➡︎ 坂をのぼると、男湯が現れました。

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204151j:image

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204158j:image

➡︎ 風情ある囲炉裏端を通りすぎ、小さな橋を渡ります。

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204215j:image

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204203j:image

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204219j:image

➡︎ 女湯に到着です。

 

f:id:tomokusa_mei:20180809204143j:image

➡︎ 自分たち以外には誰もいなかったので、撮影してみました。木の香りが気持ちいい脱衣所。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そうだ山温泉を訪れたのは、2018年の8月半ば、お盆期間の真っただ中だった。

 

夏休みだということに加え、高知市中心部ではよさこい祭りが開催されている。須崎市の山端であるとはいえ、泉質のよい温泉である。観光客や帰省者で混んでいたとして、なんら不思議ではない。

 

人気であることは、喜ばしいことである。浴場内がざわざわと騒がしかろうとも、お子さまが走りまわっていようとも、けっして心を乱すまい。そう自分を納得させる言葉をならべながらくぐったのれんの先の脱衣所は、予想に反してがらんとしていた。誰もいない。板間の美しい木目が、間接照明のやわらかな光を静かに受け止めるばかりである。ーー へなちょこフリーター、思わず、がっつぽーず。

 

そうだ山温泉をおとずれるのは初めてではなかった。カラダを無防備の高みへと連れて行ってくれる熱い湯船の気持ちよさはさることながら、今回特筆すべきは、2つある露天風呂のうちの小さい方である。

 

冬におとずれた時とはちがって、明らかに湯がぬるい。ぬるい、という言葉では、温泉側がなんだか手を抜いているように聞こえてしまうかもしれないな。そうじゃないのだ。あのぬるま湯は、人間を蒸し殺そうとやっきになっている夏の野郎から、我々を救おうとしてくれているのだ ! つまり、至福。高知県の片田舎に顕現した、まさに天国であった。

 

夏の屋外にあって、えんえんと湯船につかっていられる優越感ったらないです、ええ。みなさんも今夏、ぜひ体験してみてはいかがでせうか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

● そうだ山温泉・和

〒785-0045 高知県須崎市桑田山乙1122

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*関連記事