へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

でも嫌いにならないよ

やっぱりね ーー 下手くそな苦笑いを合図に幕は降り、缶ビールにも見放されて、キリトリ線の向こうへ。僕らは簡単にひとりになれた。

 


こだわらなければ今頃、ファミレスのハンバーグをつつく相手にも恵まれて、整った容姿の男だか女だか知らない声で更新されてく平板なライブラリ、微笑みしか知らない白髪の老夫婦に向ける正しさを自分の中に見つけられなかったな、懺悔くらいはしておこうかって、日傘ささずに駅前のスーパーまでゆっくり歩いた。

 


電柱はオレンジになった。背景は相変わらず、突き刺されたままの色。葱坊主だって魔法のステッキにできたのは、安心してくれる人がそばにいたからで、資格はだいたい質量で決まってく。サラダチキンを手放せない、バナー広告にどうしようもなく泣かされたりもした。キャラメルポップコーンの似合う夜に、水道の蛇口ひねるのもためらって、茎わかめとか食べたいなって、枕にうずくまってる。

 


完璧な角度の屋根に守られる街に、教会は平坦、振る舞われるカレーにはジャガイモが入ってなかった。運命のせいにしたくなった嗜好性は、ただ、5才のとき、あの映画に射抜かれたからっていう、それだけのことだったって、目が覚めたとき気づいて、僕はやっと人生を手に入れられたと思った。こうやってみんな死ぬまで、ゼロイチのロープに縛られてく。目なんて潰れてしまえ、いっそ死ねたらって極論に至っても、翌朝には教室にいるあの子に、嘘はひとつもなかったんだ。

 


手放してくれたら愛せる、それだけが僕の絶対。

 


思い知らせてやる ーー 肉の壁を飛び越える理由は愛にも憎しみにもあって、よーいどん!のピストルにも負けずに、ぼくは怪物になっていた。首を絞められることに慣れることはなかったけれど、その時が一番よく、聞こえた。手にとるように目の前で形作られてく感情、おじさんのもおばさんのも、子供のもみんなおんなじ形、漫画で見た心臓に似てて、あの柔らかさはちょっと、好き、だったなあ。

 


以心伝心にも、意志貫徹にも足りない人間でした。責める声に触れられたら許せたかもしれない。でも幽霊だった、都市伝説にもなれなくて、ここから先は立ち入り禁止。だったら最初から触覚なんていらなかったよ。

 

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