へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

かき氷は突然に

2016年の夏、かき氷にはまった。

 

google先生の検索窓に『名古屋 かき氷』と打ちこみ、ナビアプリに指示されるがまま、当時まだ不慣れだった名古屋をさまよっては、スプーンで氷をすくっていた。

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赤福

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抹茶味のシロップがかかった氷のなかに赤福がはいっている。冷えた餅は、ぷりっとした触感で、歯を立てるとぶちりとちぎれた。

 

名古屋駅地下のカフェーーとなりのカップルの会話を聞くともなしに、食後の緑茶をすすっていた。どうやら彼らはこれからドライブデートらしい。

 

「どっか行きたいとこある?」

「京都もいーしー、伊勢もいいなあ。あ!あれあれ!赤福氷たべたい!」

 

くるんと巻いた毛先を揺らしてはしゃぐ彼女は、隙なく整えた外見から予想していた年齢よりもずいぶん幼く見えた。

 

赤福氷……おしゃれな女性が「食べたい!」と彼氏にねだるほどだから、よほどおいしいにちがいない。あの有名なあんころ餅を、どん!どん!と氷の山にのっけるんだろうか?

 

カップルの目的地が決定する前に店を出た。実家への土産を物色するべく、高島屋の地下へ移動する。そして赤福のまえを通りかかって驚いた。店先に『赤福氷』と書いてあった! 興奮が冷めないうちにのれんをくぐり、カフェの彼女にならって赤福氷を食べることにした。

 

ここは冷凍庫か? 店内は鳥肌が立つくらい、きんきんに冷えていた。命がけで、餅を、氷を、のみくだす。

 

たしかにあれはリピートしたくなる味だーー今ならカフェの彼女に相づちを打ってあげられるのに。

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緋毬

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● キウイ

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● ティラミス

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サカエチカにある甘味処。奥まったつくりをしている。

 

ティラミス氷にスプーンをつき立てると上にのっている1番美味しい部分がくずれ、氷の斜面をかけおりていった。即座にのびるおもわず左手。体温にみるみるぬるまるマスカルポーネーーこれ、そのままおぼんへ転がしたほうがよくなかったか? 己の反射神経を呪うこと3秒、受け皿をもったお店のひとが後ろからすすっと現れた。

 

右隣には女の子のふたりづれ。ひとりはどうやらアイドル候補生らしい。てりてりの唇で、かき氷を食べているーーわたしと同じティラミス味。

 

アイドル候補生とかいう天然記念物と、その友達が、ティラミス味の期間限定かき氷を食べている。レッスンが大変だとか、歌のパートの編集がどうのこうのと話している……ここはテレビの中でしたっけ?

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若宮八幡社・夏越しの祓

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氏子さんじゃないともらえんだろな。茅の輪をくぐってお参りしたら即帰ろうとしていたわたしを呼び止める声があった。

 

かき氷いかがですか?ーー浅黄色の袴をはいた若い男性がにこにこ、こっちを見ている。もらえるならば、ぜひ、もちろん!あんこつけますか、と聞かれたので、お願いしますとこたえる。

 

ちんまり可愛らしいかき氷。あんまり喜んだりしたら、 " 欲深いやつだ " と神さまに目をつけられて、せっかく落とした厄を返されたりしないだろうか?

 

ふるまいを受けていた大部分はご近所さんらしかった。赤い毛氈のひかれた席で、親しげに語らっている。少々肩身の狭いおもいをしながら、ぬるい風に溶けはじめた氷をあわててすくい、口に運んだ。

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吾妻茶寮

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ローカル情報番組は、会社を辞めて疲れ切っていたころのわたしのいちばんの楽しみだった。「千種区のパン屋が~」「中区で週末にイベントが~」と言われても、それが自分の家から遠いのか近いのか、よくわかっていなかった。

 

アナウンサーやレポーターから自分の住んでいる街のことを教えてもらっていると、会社を辞められてよかった、選択は間違ってなかったんだと、ほんと、しみじみ、おもった(会社員時代はTVを見る暇も気力もなかった)。

 

極み抹茶ブリュレはそういう番組のひとつで特集されていて、なめらかなクリームとパリパリの焦げ目を見ていると、いてもたってもいられなくなった。

 

開店するやいなやすぐにひとでいっぱいになった店内で、ひとりの男性に目が吸い寄せられたーー白いポロシャツに焼けた肌。今日はこれにしよっかな、と親しげな口ぶりからすると、おそらく常連客なのだろう。

 

男性は注文を終えると、かばんの中からごつめの一眼レフを取り出した。データのチェックをしているようだ。デジカメの画面に映っているのは、色とりどりのかき氷だったーー彼は、かき氷マスターだった! ……色んな店でさまざまなシロップを味わっては写真におさめ、もしかしたらブログかなにかをやっているのかもしれない。

 

しばらくしてから運ばれてきた抹茶ブリュレは、期待を裏切らない、なんとも素敵な甘味だった。しかし、またしても冷房が仇となり、舌から何から冷えきった体では最後まで美味しいと感じられなかったことが、無念でならない……

 

これを食べ終わったあと「わたしは抹茶とあんこが好きなんだ。別にかき氷でなくていい」とはたと気づいた。

 

ーーかき氷熱は、ひと夏ともたず、終息した。

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まとめ

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かき氷はおいしい食べものであるーーそう認識した1度目は、香川県で金毘羅参りを終えたときだった。足湯のある喫茶店で、ミルクのかかったかき氷を生まれてはじめて口にした。

 

2度目は倉敷の古民家カフェ。食べきれるか不安になるくらい大きい宇治抹茶で、緑の小山が皿にででん!と鎮座していた。最後まで、うまいうまいと、ぶつぶつ言いながら腹におさめられたのは、そこが外から風を通している座敷だったからだろう。

 

かき氷はやっぱり暑いところで食べたい。

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