へなちょこフリーターの悠雅な日常

おもしろおかしく生きてます。ブログタイトルは香月日輪さんの著書から拝借。目標:週休5日。

フリーター、夏の残り香に安堵する。

二輪の速度で季節をまたぎ、図書館へ

 

「実家へは帰らなかったの?」

「それがですね、帰ろうとは思ってたんですけど…」

お盆明けを象徴するサラリーマンと思しき二人組を横目に、ゴミ捨て場を後にする。

草花は衰えを知らず、湿度高めな大気へやる気を発散させている。イグサ似の香りの風が肌に気持ちいい。実家の仏間に転がっていた父のお昼寝枕(および加齢臭)を思い出す。

 

図書館へ向かう線路沿いは蔦が渦を巻き、葉の隙間からツユクサの青とマルバルコウソウの橙が顔を覗かせる。西へ向かうにつれ、日差しが強くなっていく。秋から夏へ季節をまたいだ気持ちがした。

 

縄田一男編『吉原花魁』 

桜庭一樹の読書日記で紹介されていた縄田一男編『吉原花魁』を読まんと、検索機が吐き出したぺら紙を頼りに探すも見つからず。頼みの綱の図書館員さんも「あれ~?」と声を上げる始末。御縁がなかったのね~と諦め、新たな獲物を物色していたところ、あらぬ所に棚刺しされていた下手人にばったり遭遇した。表紙には真白な横顔を風にさらす艶やかな遊女。

 

吉原にまつわる男と女のあれやこれやのアンソロジーであるが、なんせ血なまぐさい。これを読む限り、吉原は毎夜血に染まっていたのではあるまいか。夜と共に血の雨が降り、何事もなかった真白な顔した朝がくる。

 

私は南原幹雄『爪の代金五十両』が一等好きである。解説じみてない用語解説が時代小説に明るくない私にも易しく、なおかつ結末の後味の悪さが天下一品!爪をはがれる痛さがなまじわかるだけに、「いー!」と口を引き結び眉根を寄せるのを我慢できない。

この話に登場するおえんが、須賀しのぶ『芙蓉千里』のフミに重なる。廓を前にすると女と男どちらの立場にも馴染まない、でもどうしようもなく女である2人の気風と度胸のよさが痛快なんだよなー。

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「世の中万事、綱わたりよ」

「綱わたりがこわくっちゃ、生きちゃいかれねえ」 

          藤沢周平『三千歳たそがれ』

 

 

明日もがんばらぬ~。