へなちょこフリーター日記

おもしろおかしく生きてきたいね

パルプはよく噛む

季節の境目から風が吹いてくる。

 

うっとおしい!どっかいけ!邪険に扱っていた暑さのうしろ髪へ思わず手を伸ばす。だってまだ、花火見てない。

 


実家文庫から本が届いた。

 

依然、森見登美彦ブーム。かばんのなか、仕事着の間で眠る朱色の装幀に励まされ出勤。バイトの休憩時間は時間が良い具合に煮つまって、カフェよりもどこよりも読書に集中できるとこが好き。

 

 

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夜は短し歩けよ乙女

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主人公である「私」が大学の後輩である黒髪の乙女への片恋を成就せんと奮闘する。好奇心の湧くにまかせて歩みを止めぬ乙女に合わせ、めまぐるしく変化する場面展開は想像力を大いに刺激し、天狗を名乗る樋口さんや古本市の神様などさらっと挟まれる不思議な諸々が癖になる。

 

幾度か読み返してはいたが今回初めて気付いたことがある。これ全編、「私」と乙女の後日談としても読めるんじゃない?

 

第一章の終盤、乙女は「同じクラブでありながら、その先輩のお名前を覚えていなかったのは、私の不徳と致すところです。」と述べている。

同じ章の序盤では「かくして私は早々と表舞台から退場し、彼女は夜の旅路を辿り始める。ここからは彼女に語って頂くとしよう。」「私」が乙女へ語り手のバトンを渡す。名前を知られていない関係とすると、その時点では少々不自然な流れ。しかし「私」と乙女がお付き合いを始めた後の回想とするとどうだろう?

 

あの夜、あの古本市、あの学園祭で、「私はこう過ごしていた。あなたは?」というような会話を繰り広げたに違いないのだ。知りえなかった情報を共有することで、ふたりの視点が先斗町下鴨神社、大学構内を立体的に浮かび上がらせる。奥手と鈍感の攻防と、「すべて了解済み」な空気の対比がたまらんです。

 

 

 

ブログに書くことなんかないか!?って唸ってなかったら、ただおもしろいーでぱたんと本を閉じて終りだったと思う。飲み下すだけもよいが、よく噛んで言語化すると2度うまい。

 

 

明日もがんばらぬ~。